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前回の使用従属性の判断基準を参考にして考察していきたいと思います。

事件名
労働者災害補償保険給付不支給処分取消請求事件

要旨
作業場を持たずに一人で工務店の大工仕事に従事する形態で稼動していた大工が労働基準法及び労働者災害補償保険法上の労働者に当たらないとされた事例

A(マンションの建築工事を受注した会社)
B(Aが受注したマンションの内装工事を請け負った会社)
C(内装工事に従事していた際に負傷した大工)


労働者性があるとした主張
① CはBからの求めに応じて上記工事に従事し、仕事の内容について、仕上がりの画一性、均質性が求められることから、Bから寸法、仕様等につきある程度細かな指示を受けていた。

それに対して

労働者性がないとした理由
① 具体的な工法や作業手順の指定を受けることはなく、自分の判断で工法や作業手順を選択することができた。


労働者性があるとした主張
① Cは作業の安全確保や近隣住民に対する騒音、振動等への配慮から所定の作業時間に従って作業することを求められていた。

それに対して

労働者性がないとした理由
① 事前にBの現場監督に連絡すれば、工期に遅れない限り、仕事を休んだり、所定の時刻より後に作業を開始したり所定の時刻前に作業を切り上げたりすることも自由だった。


労働者性があるとした主張
① Cは、当時、B以外の仕事をしていなかった。

それに対して

労働者性がないとした理由
① これは、Bが、Cを引きとどめておくために、優先的に実入りの良い仕事を回し、仕事がとぎれないようにするなど配慮し、C自身も、Bの下で長期にわたり仕事をすることを希望し、仕事の内容に多少不満があってもその仕事を受けるようにしていたことによるものであって、Bは、Cに対し、他の工務店等の仕事をすることを禁じていたわけではなかった。


労働者性があるとした主張
① Cは、Bの依頼により、職長会議に出席してその決定事項や連絡事項を他の大工に伝達するなどの職長の業務を行い、職長手当の支払いを別途受けることとされていた。

それに対して

労働者性がないとした理由
① 上記業務は、Bの現場監督が不在の場合の代理として、BからCら大工に対する指示を取り次いで調整を行うことを主な内容とするものであり、大工仲間の取りまとめ役や未熟な大工への指導を行うという役割を期待してCに依頼したもの。

Ⅴ 報酬について
① 完全な出来高払いの方式が中心。日当を支払う方式は、出来高払いの方式による仕事がないときに数日単位の仕事をするような場合に用いていた。
② 前記工事における出来高払いの方式による報酬について、Cら内装大工はBから提示された報酬の単価につき協議し、その額に同意した者が工事に従事することになっていた。
③ Cはいずれの方式の場合も、請求書によって報酬の請求をしていた。
④ Cの報酬は、Bの従業員の給与より相当高額であった。

Ⅵ 機械、器具の負担について
① Cは、一般的に必要な大工道具一式を自ら所有し、これらを現場に持ち込んで使用していた。
② CがBの所有する工具を借りて使用していたのは、当該工事においてのみ使用する特殊な工具が必要な場合に限られていた。

Ⅶ その他
① Cは、Bの就業規則及びそれに基づく年次有給休暇や退職金制度の適用を受けていなかった。
② Cは、国民健康保険組合の被保険者となっており、Bを事業主とする労働保険や社会保険の被保険者となっていない。
③ Bは、Cの報酬について給与所得に係る給与等として所得税の源泉徴収をする取扱いをしていなかった。

アドバイス
このように判例を取り上げたのは、例えば請負契約を結んでいるからとか、彼は部長で役職者だから残業手当はつかないのですという理由だけでは通用しないということが一番お伝えしたかったからです。あくまでも様々な点から実態をみて判断されます。
もし、不安な点等があれば前回、前々回で説明している判断基準を参考にして再度労務管理の見直しをしてみて下さい。


余談ですが、労災には事業主が加入できる特別加入という制度もあります。建設関係の事業主・一人親方の大工・タクシーの運転手さんのような方は加入をお勧めします。


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2007.11.26 Mon l 労働者とは l COM(0) TB(0) l top ▲
最近偽装請負の問題が言われていますが、請負とは一体どういうことなのでしょうか?

請負とは、当事者の一方(請負人)が相手方に対しある仕事を完成することを約し、相手方(注文者)がこの仕事の結果に対して報酬を支払うことを約することにより成立する、諾成・双務・有償の契約をいいます。(民法632条)

ではなぜ企業は請負契約をしたいのでしょうか?

請負契約で仕事を引き受けている場合、その仕事をしている人は労働者ではありません。労働者でないということは、企業は労働保険や社会保険をかける必要もなく、また使用者責任や労働安全上の義務を負わずにすむのです。また、派遣で人を受け入れている場合、一定期間経過後にはその派遣で受け入れている人を直接雇用を申し込む義務がメーカー側に発生するのです。

では、労働者とはどのような人をいうのでしょうか?

労働基準法第9条(労働者)
この法律で「労働者」とは、職業の種類を問わず、事業又は事務所に使用される者で、賃金を支払われる者をいう。

労働基準法第11条(賃金)
この法律で賃金とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うものすべてのものをいう。

このことから、労働者性について2つの基準が浮かび上がります。
①「使用される=指揮監督下の労働」という労務提供の形態
②「賃金支払」という報酬の労務に対する対償性、すなわち報酬が提供された労務に対するものであるか
この二つの基準を総称して、「使用従属性」と呼びます。

更に具体的に判断基準を示すと、
Ⅰ 「指揮監督下の労働」に関する判断基準
労働が他人の指揮監督下において行われているかどうか?
イ、仕事の依頼、業務従事の指示等に対する諾否の自由の有無
ロ、業務遂行上の指揮監督の有無

Ⅱ 報酬の労務対償性に関する判断基準
報酬が時間給を基礎として計算される等労働の結果による較差が少ない、欠勤した場合には応分の報酬が控除され、いわゆる残業をした場合には通常の報酬とは別の手当が支給される等報酬の性格が使用者の指揮監督の下に一定時間労務を提供していることに対する対価と判断される場合には、「使用従属性」を補強することとなります。

Ⅲ 「労働者性」の判断を補強する要素
①事業者性の有無
イ、機械、器具の負担関係
ロ、報酬の額
ハ、その他(裁判例)
②専属性の程度
③その他(具体例)
 採用、委託等の際の選考過程が正規従業員の採用の場合とほとんど同様である
 報酬について給与所得としての源泉徴収を行っている
 労働保険の適用対象としている
 服務規律を適用している
 退職金制度、福利厚生を適用していること等
「使用者」がその者を自らの労働者と認識していると推認される点を、「労働者性」を肯定する判断の補強事由とするものがあります。

次回は労働者性が争われた裁判例を取り上げたいと思います。


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2007.11.23 Fri l 労働者とは l COM(0) TB(0) l top ▲
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