上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--.--.-- -- l スポンサー広告 l top ▲
今日は、順番がずれてしまいましたが、管理監督者かどうかが争われた裁判例を取り上げたいと思います。

事件名
時間外手当請求

原告A(元社員)
被告B(会社)

Aの請求
 勤務期間中の超過勤務について時間外手当の請求。
 未消化の有給休暇2日分の請求。
 未払給与の請求(基本給が40万円のはずが3ヶ月ほど37万円しか支給されていない為)

Bの主張(詳細は省略します。)
 Aは労働基準法41条2号に該当する管理者であるため時間外労働の規定の適用を受けない。
 雇用契約を結んで、労働基準法39条により6ヶ月継続勤務しなければ有給休暇が与えられないのにもかかわらず、その前に有給休暇を取りたいと申し入れがあったので8日間の有給休暇を与えたものであって、未消化の2日を残して退職したからといってその分を金銭に換算して請求できるものではない。
 請求された3ヶ月間の基本給が40万円であることは否認。

裁判所の判断
 裁判所の判断は、やはり名称にとらわれず実態に即して判断すべきであると述べています。以下検討していきます。

①採用の経過について
 BはAの採用するにあたり、総務の責任者の採用を希望していた。 
 ハローワークへの求人票の職種欄に「総務管理幹部」と記載してあった。
 Aも入社に際し「総務管理幹部」なる立場についてBに照会し「通常であれば部長である」というBからの返事を得てBに履歴書を送付した経緯があることが認められる。
 Aが採用時にBから渡された採用通知書にの職種欄には、「総務経理」とだけ記載され、「総務管理幹部」という記載はないが、前記の経緯に照らせば幹部社員として採用されたことは明らか。

では採用後の実態は「管理監督者」に相応しいものであったか?

② 給与について

 Aを採用した時の求人票には、基本給20万円から30万円、役職手当10万円から15万円と記載。
 Bの賃金規程では「役職手当は職務上、責任の重い管理的地位にある者に対し別に定める金額を支給する。」となっている。
 Aは総額で35万円から37万円の給与の支払いを受けていた。
 この間にBでは給与規定の見直しをすすめ、見直し後の給与規定では総支給額が37万円の者は管理職に位置づけられ、内訳として管理職手当が5万円されて管理職に支給。Aにも管理職手当を支給。
 社員が給与上どのように位置づけられるかについて定めた「位置分布シミュレーション」の作成にAも関与。
 位置分布シミュレーション上ではAは「管理職」に位置づけられていた。
 Aは、在職中、時間外手当が支給されないことについてBに異議を述べたことがなかった。
給与に関しては、Bの基準では、管理職としての支給を受けていたものと認められる。

③ 職務内容について 
 求人票の仕事の内容として「総務・法務・人事関連の統括管理」と記載。
 採用後、Aは総務の仕事を担当。就業規則の整備、社会保険加入手続等に関することを主に行う。これらの仕事は社長や専務から命ぜられたものであった。
 Bではほぼ毎朝8時から経営会議が開かれ、常時出席していた者は社長、専務、部長、課長とAであった。
以上の事実からは、Aは監督的な業務はしていなかったもののBにおける総務の責任者としての仕事をしていたと認められる。

④ 勤務時間
Aの勤務時間は9時から18時までで、Aもタイムカードによって勤務時間を管理されていたことが認められる。

⑤ まとめ
以上の事実を総合すると、勤務時間に関しては出退勤の自由はなかったものの、給与面や仕事面で管理者としての処遇を受けていたと認められる。

 労働契約で有給休暇の買い取りについて定めた事項もなく、かつ、Bがそのような約束をしたと認めるに足りる証拠はない。

 基本給を40万円とする旨の合意をした事実を認めるに足りる証拠はない。

アドバイス
この判例からわかることは、求人票を提出する内容及び労働契約の内容の重要性がわかります。求人票を職安等へ掲載する時、内容には十分注意を払いましょう。よくあるのですが、求人時点での賃金や仕事内容と採用後の賃金や仕事内容が違う為によく労働問題が発生しています。また、労働基準法15条では、「労働契約の締結に当たって、使用者は賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない」とされています。後々問題が発生しないためにも、就業規則・賃金規程等のルールを明確にし、矛盾がないように見直しをお勧めします。



ランキング参加中です。良ければ一押しお願いします。

スポンサーサイト
2007.11.30 Fri l 管理監督者とは l COM(0) TB(0) l top ▲
今日は今更ですが、特定社会保険労務士の合格証書を額縁に入れて飾ろうと思い額縁を作りに行きました。

そのお店では、社会保険労務士の合格証書の額縁もそこで作ったのですが、平成14年度の合格当時、「この資格は何をされるのですか?」と聞かれ、いろいろ答えましたがやはり一般の人には認知度がなかったと思います。

しかしながら今回、私は黙っていたのですが向こうの方から声を掛けられ、「今はこのお仕事は大変でしょう」と聞かれました。

これもひとえに年金のせいかおかげか、かなり認知度は高くなっているのを感じました。

社会保険労務士として、恥ずかしいことをしないように頑張らないといけないと思った今日一日でした。


ランキング参加中です。良ければ一押しお願いします。
2007.11.27 Tue l 日記 l COM(0) TB(0) l top ▲
前回の使用従属性の判断基準を参考にして考察していきたいと思います。

事件名
労働者災害補償保険給付不支給処分取消請求事件

要旨
作業場を持たずに一人で工務店の大工仕事に従事する形態で稼動していた大工が労働基準法及び労働者災害補償保険法上の労働者に当たらないとされた事例

A(マンションの建築工事を受注した会社)
B(Aが受注したマンションの内装工事を請け負った会社)
C(内装工事に従事していた際に負傷した大工)


労働者性があるとした主張
① CはBからの求めに応じて上記工事に従事し、仕事の内容について、仕上がりの画一性、均質性が求められることから、Bから寸法、仕様等につきある程度細かな指示を受けていた。

それに対して

労働者性がないとした理由
① 具体的な工法や作業手順の指定を受けることはなく、自分の判断で工法や作業手順を選択することができた。


労働者性があるとした主張
① Cは作業の安全確保や近隣住民に対する騒音、振動等への配慮から所定の作業時間に従って作業することを求められていた。

それに対して

労働者性がないとした理由
① 事前にBの現場監督に連絡すれば、工期に遅れない限り、仕事を休んだり、所定の時刻より後に作業を開始したり所定の時刻前に作業を切り上げたりすることも自由だった。


労働者性があるとした主張
① Cは、当時、B以外の仕事をしていなかった。

それに対して

労働者性がないとした理由
① これは、Bが、Cを引きとどめておくために、優先的に実入りの良い仕事を回し、仕事がとぎれないようにするなど配慮し、C自身も、Bの下で長期にわたり仕事をすることを希望し、仕事の内容に多少不満があってもその仕事を受けるようにしていたことによるものであって、Bは、Cに対し、他の工務店等の仕事をすることを禁じていたわけではなかった。


労働者性があるとした主張
① Cは、Bの依頼により、職長会議に出席してその決定事項や連絡事項を他の大工に伝達するなどの職長の業務を行い、職長手当の支払いを別途受けることとされていた。

それに対して

労働者性がないとした理由
① 上記業務は、Bの現場監督が不在の場合の代理として、BからCら大工に対する指示を取り次いで調整を行うことを主な内容とするものであり、大工仲間の取りまとめ役や未熟な大工への指導を行うという役割を期待してCに依頼したもの。

Ⅴ 報酬について
① 完全な出来高払いの方式が中心。日当を支払う方式は、出来高払いの方式による仕事がないときに数日単位の仕事をするような場合に用いていた。
② 前記工事における出来高払いの方式による報酬について、Cら内装大工はBから提示された報酬の単価につき協議し、その額に同意した者が工事に従事することになっていた。
③ Cはいずれの方式の場合も、請求書によって報酬の請求をしていた。
④ Cの報酬は、Bの従業員の給与より相当高額であった。

Ⅵ 機械、器具の負担について
① Cは、一般的に必要な大工道具一式を自ら所有し、これらを現場に持ち込んで使用していた。
② CがBの所有する工具を借りて使用していたのは、当該工事においてのみ使用する特殊な工具が必要な場合に限られていた。

Ⅶ その他
① Cは、Bの就業規則及びそれに基づく年次有給休暇や退職金制度の適用を受けていなかった。
② Cは、国民健康保険組合の被保険者となっており、Bを事業主とする労働保険や社会保険の被保険者となっていない。
③ Bは、Cの報酬について給与所得に係る給与等として所得税の源泉徴収をする取扱いをしていなかった。

アドバイス
このように判例を取り上げたのは、例えば請負契約を結んでいるからとか、彼は部長で役職者だから残業手当はつかないのですという理由だけでは通用しないということが一番お伝えしたかったからです。あくまでも様々な点から実態をみて判断されます。
もし、不安な点等があれば前回、前々回で説明している判断基準を参考にして再度労務管理の見直しをしてみて下さい。


余談ですが、労災には事業主が加入できる特別加入という制度もあります。建設関係の事業主・一人親方の大工・タクシーの運転手さんのような方は加入をお勧めします。


ランキング参加中です。良ければ一押しお願いします。
2007.11.26 Mon l 労働者とは l COM(0) TB(0) l top ▲
最近偽装請負の問題が言われていますが、請負とは一体どういうことなのでしょうか?

請負とは、当事者の一方(請負人)が相手方に対しある仕事を完成することを約し、相手方(注文者)がこの仕事の結果に対して報酬を支払うことを約することにより成立する、諾成・双務・有償の契約をいいます。(民法632条)

ではなぜ企業は請負契約をしたいのでしょうか?

請負契約で仕事を引き受けている場合、その仕事をしている人は労働者ではありません。労働者でないということは、企業は労働保険や社会保険をかける必要もなく、また使用者責任や労働安全上の義務を負わずにすむのです。また、派遣で人を受け入れている場合、一定期間経過後にはその派遣で受け入れている人を直接雇用を申し込む義務がメーカー側に発生するのです。

では、労働者とはどのような人をいうのでしょうか?

労働基準法第9条(労働者)
この法律で「労働者」とは、職業の種類を問わず、事業又は事務所に使用される者で、賃金を支払われる者をいう。

労働基準法第11条(賃金)
この法律で賃金とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うものすべてのものをいう。

このことから、労働者性について2つの基準が浮かび上がります。
①「使用される=指揮監督下の労働」という労務提供の形態
②「賃金支払」という報酬の労務に対する対償性、すなわち報酬が提供された労務に対するものであるか
この二つの基準を総称して、「使用従属性」と呼びます。

更に具体的に判断基準を示すと、
Ⅰ 「指揮監督下の労働」に関する判断基準
労働が他人の指揮監督下において行われているかどうか?
イ、仕事の依頼、業務従事の指示等に対する諾否の自由の有無
ロ、業務遂行上の指揮監督の有無

Ⅱ 報酬の労務対償性に関する判断基準
報酬が時間給を基礎として計算される等労働の結果による較差が少ない、欠勤した場合には応分の報酬が控除され、いわゆる残業をした場合には通常の報酬とは別の手当が支給される等報酬の性格が使用者の指揮監督の下に一定時間労務を提供していることに対する対価と判断される場合には、「使用従属性」を補強することとなります。

Ⅲ 「労働者性」の判断を補強する要素
①事業者性の有無
イ、機械、器具の負担関係
ロ、報酬の額
ハ、その他(裁判例)
②専属性の程度
③その他(具体例)
 採用、委託等の際の選考過程が正規従業員の採用の場合とほとんど同様である
 報酬について給与所得としての源泉徴収を行っている
 労働保険の適用対象としている
 服務規律を適用している
 退職金制度、福利厚生を適用していること等
「使用者」がその者を自らの労働者と認識していると推認される点を、「労働者性」を肯定する判断の補強事由とするものがあります。

次回は労働者性が争われた裁判例を取り上げたいと思います。


ランキング参加中です。良ければ一押しお願いします。

2007.11.23 Fri l 労働者とは l COM(0) TB(0) l top ▲
昨日NHKのクローズアップ現代で悲鳴あげる“名ばかり”管理職という放送をやっていました。これは一般従業員を管理職にし残業代を払わないという問題です。

なぜこのような問題が起きるのでしょうか?

以下の条文があるので、管理監督者へは残業代を支給していません。
根拠条文
労働基準法第41条(労働時間等に関する規定の適用除外)
この章、第6章及び第6章の2で定める労働時間、休憩及び休日に関する規定は、次の各号の一に該当する労働者については適用しない。
① 別表第1第6号(林業を除く。)又は第7号に掲げる事業に従事する者
事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位ある者又は機密の事務を取り扱う者
③ 監視又は断続的労働に従事する者で、使用者が行政官庁の許可を受けたもの

管理監督者へ残業代を支給しないでいいのであれば、従業員全員を管理監督者にすればいいのでは?

思わずこのようなことを考えてしまいます。

では一体管理監督者とはどのような人をいうのでしょうか?
2007.11.20 Tue l 管理監督者とは l COM(0) TB(0) l top ▲
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。